『ズートピア』ができるまで

このページでは『ズートピア』の制作裏話や没設定、ネットに公開されている初期設定などをまとめていければと思っております。ページは長くなり次第切り離して再構成していきますので、ご了承ください。

  •  ニックの演技ができるまで では、ベイトマンの収録の様子、インタビューを動画リンク付きで紹介。
  • 「ズートピアでの生活」ができるまで (本ページ)では、背景や小物をデザインしているアーティストをご紹介。


「ズートピアでの生活」ができるまで

街並み、車、雑貨などなど、キャラクター以外の、画面に映りこむ様々なものに関して、自サイト/タンブラーで設定画を公開しているアーティストとそれぞれのサイトを紹介します。


Matthias Lecner

・Matthias Lecner 個人サイト TOPページ http://www.matthiaslechner.com/
・『ズートピア』のコーナー http://www.matthiaslechner.com/zootopia.html

マティアスは、EDのガゼルのライブシーンでは ART DIRECTOR CHARACTERS のコリー・ロフティスと並ぶ形で ART DIRECTOR ENVIRONMENTS としてクレジットされている方です。日本語版『ジ・アート・オブ ズートピア』ではその肩書は 「背景美術のアートディレクター」 と訳されています。

マティアスのサイトに掲載された画像を見ていくと、実際の映画にそのまま使われている設定が少ないことに驚かされます。

彼のサイトには「2012年の1月にディズニーから声がかかった」という記述が、『ジ・アート・オブ ズートピア』には 「バンクーバーで2年『ズートピア』の仕事をしたあと、背景美術のアートディレクターを務めるためにカリフォルニアに移住した」 という内容の記述があります。

『ズートピア』のストーリーは制作中に大きく変化し、ニックからジュディへ、主人公までも変更されたことで知られています。もしかすると、マティアスが自分で絵を描いていた最初の2年間に想定されていたシチュエーションは、完成された映画にはほぼ残らず、映画が完成に近づきつつある時期には、マティアスはスタッフの仕事をまとめる作業に注力していたということなのかもしれません。

(ベルウェザーのマグカップとポストイットの手描き文字、スチュが持っていたウサギのトートが意外とそのままなのが、また切ないです)

マティアスのサイトに掲載された画像の中には、ニックの後ろ姿が描かれているものが少なくありません。

気絶しているようにも見えるジュディを膝に乗せて雪上バイクを乗りこなすニック、コスロフの工場の様子、ニックやクロウハウザー、フィニックが働いていたというCHEZ CHEEZのメニュー表、レインフォレストの最下層で雨に打たれるジュディのシルエット、お父さんのお店 JOHN WILDE の前にたたずむちびニック、知恵を凝らして作ったワイルドタイムズ、お友だちのハニーバッジャーの隠れ家、スタジアムで盛大に行われるガゼルのライブ。

確かにそこにあったのになくなってしまったニック目線のストーリーや、いなくなってしまったニックとその友だち、彼らの前にひろがった景色の一部。そういったものを私たちはここで少しだけ見せてもらうことができます。

前後にどんなストーリーがあったのか、その時彼らがどんな気持ちだったのか。画像に残された少ないヒントから、私たちは想像を膨らませます。そしてそれは、今は消息が知れない友人の、自分が知らない時代のアルバムを見せてもらっているときの気持ちに似ているような気がするのです。

マティアスのとにかく縦にながーいながーいサイト(スマホで見ると全体が把握しやすいです)の最後には以下のような文章が掲載されています。

"The last thing I designed was the credit sequence - a Gazelle concert in the midst of the main town square."
「僕が最後にデザインしたのは、町の真ん中にある広場でのガゼルのコンサート、クレジットのシークエンスだ」

"I loved designing this city. Thank you Disney for letting me do this. Last: If you ever visit Zootopia this subway map might come in handy..."
「僕はこの街をデザインするのが大好きだった。僕にこの仕事をさせてくれたディズニーに感謝している。最後に。もし君がズートピアを訪れることがあったら、この地下鉄マップが役立つと思うよ」


2016.10.5作成



Armand Serrano

・Armand Serrano 個人サイト http://www.armandserrano.com/

アーマンド・セラーノはEDでは VISUAL DEVELOPMENTVISUAL DEVEROPMENT ARTISTS として、Byron HowardやShiyoon Kim、Nicholas Orsi、Scott atanabeらと併記されています。
しかし『ジ・アート・オブ ズートピア』を見ると、シヨン・キムやニック・オーシはキャラクターより、スコット・ワタナベは美術よりのお仕事をしているように見受けられ、アーマンド・セラーノも、マティアス・レクナーの指示のもと 背景美術の仕事をしていたのではないかと思われます。 そこらへん全部まとめてVISUAL DEVEROPMENT ARTISTSなんでしょうか。難しい……。

マティアス・レクナーのサイトに掲載されているデザインの多くは、公開された映画に姿を現さない(ただし映画全体、ズートピア全体を作り上げている)という点は前述の通りですが、アーマンド・セラーノのサイトに掲載されている画像の多くは、公開された映画のシチュエーションに合致しており、実際の画面にその面影を探すことができます。

ここではファンとして特に注目したいポストへ直接リンクを貼っていますが、ぜひご本人のタンブラーやサイトでゆっくりと画像を楽しんでいただければと思います。



アーマンドのページで「zootopia」で検索すると、大量のポストがヒットします。
ネズミの工事現場、マンチャスさんの家、ズートピアエクスプレス乗車時の3Dレイアウト、市長室、ベルウェザーの部屋、ジャンボウカフェなど、実際の映画に使われたシチュエーションが大量に見つかるほか、ダウンタウン、リトルローデンシア、サハラスクエアの街並みのスケッチなども確認できます。
映画中のリトルローデンシアでは、小さい動物が大きい動物のアイテムを、別の目的に流用している様子を見ることはできませんが、アーマンドのページでは、半分に割ったテニスボールをソファにしたり、トイレットペーパーの芯を家にしたりと工夫を凝らしてリトルライフを楽しむ動物たちの様子も垣間見ることができます。

特にファンとして見逃せない、名シーンまわりは下記。

にんじんペン

ゴンドラ

ひび割れた地面、くもった空、葉を落とした木々、工事のフェンスが荒涼とした雰囲気を出しています。公開された映画では、背景にワイルドタイムズ的な建物やしだれ柳が追加されたほか、周囲は柔らかく明るい木漏れ日が落ち、地面には背の高い草、木々には葉、橋には苔が蒸しました。希望あふれるシーンにふさわしい、光と水気に満ちた場所に変身しています。

自然史博物館

ジュディの部屋

ニックの部屋 (完全に没)


・個人サイト http://www.armandserrano.com/

基本的にタンブラーと同じ画像が上がっていますが、一部差異があります。
意外とデコラティブな「ジュディの傘」や、 円盤特典の削除シーンで ニックとジュディが鎖でつるされていた場所(コスロフの冷凍室) の設定なども見られます。


2016.10.7作成

  • 最終更新:2016-10-07 01:56:44

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