新潟のCoccoさん

Coccoについては、熱心なファンの方たくさんいらっしゃいますし、ライブ参加8年ぶりの私が何を書いてるのか……という感じかと思うのですが、通りすがりの1ファンのひとりごととして、広い心で読んでいただけるとうれしいです。

Cocco Live Tour 2016 "Adan Ballet"

2016.09.22 Thu
会場:りゅーとぴあ 劇場(新潟) 開場:17:00 開演:17:30

そもそもCoccoを知ったのは高校生の頃のこと。新譜だったんでしょうか、CDショップで面陳されていた『カウントダウン』の、白シャツ着てるだけのCoccoのくっきりした丸出しの顔に惚れたんでした。

今考えるとデビュー当時のCoccoは20歳で、私とそんなに年違わないです。でもあの時自分はまだ高校生でしたから、Coccoはすごく大人に見えました。あれから19年です。

今日、久しぶりに新潟でCoccoを見ました。

考えてみたら私がCoccoのライブを見たのは武道館での3回だけなんです。2008年のきらきらが2回、2006年のザンサイアンが1回。そしたらもう顔とか豆つぶサイズで表情なんか見えないんです。
でも今回は1階席12列だったんですね。Coccoの顔が肉眼で見える! すごい! 大興奮!
武道館の時もでしたがCoccoが舞台にあがっただけで号泣でした。

なんでCoccoが歩いてるの見ただけで泣いちゃうのかというと。

2003年発売の「Heaven's Hell」というDVDに収録されたCoccoの活動のドキュメンタリーを見たからです。今手元に現物がないので間違ってたらごめんなさい。
Coccoはこのドキュメンタリーのなかで沖縄の海に落ちてるゴミを減らすために、地元の中高生と一緒に、一曲だけの演奏会を開いています。で、何度か彼らと一緒に演奏の練習をしてる様子が映るんですけど。体育館で子どもたちに囲まれた彼女は「みんなの一人一人の名前を覚えられなくてごめん。町で会って私が気が付かなかったら声をかけてほしい」って泣いてたんですね。

Coccoという歌手がいて、合唱や演奏で参加する100人くらいでしょうか、メンバーがいて。全員の顔と名前を覚えられないのは、当たり前に思います。
でもCoccoはその「名前を覚えてもらえなかった子」のことを考えて、自分のふがいなさに泣いてしまうんです。その様子を見て弱い人だとは思わなかった。Coccoの泣き方は悲しくてめそめそ泣くというのとも少し違うんです。Coccoはすごく強くて、他の人がそれと戦わないために神経を麻痺させていることとも向き合って、涙を流しながら戦い続けてるんだな、と思いました。

以来ドキュメンタリーの「大丈夫であるように」とか、映画「KOTOKO」とか彼女がメインで撮られてる作品を見ましたが、見てる時の気持ちはいつも一緒です。
「今度こそCoccoが大丈夫でありますように」です。

「大丈夫であるように」は、結局、今も彼女は戦っている、というドキュメンタリーでした。エンディングで髪を切ってしまうCocco。現在も闘病中であることが伝えられるテロップ。映画館を出た後も涙が止まらなかったことを覚えています。

一方で舞台に乗っている彼女は私を安心させてくれます。
今日も笑顔でした。大丈夫でした。

今日はアダンバレエからの曲に加えて本当に懐かしい曲を数曲。「樹海の糸」「SATIE」「強く儚い者たち」「遺書。」を歌ってくれました。

「強く儚い者たち」を聞いたらやっぱり苦しくてですね。当時くりかえしテレビで見たCoccoのPVと、そのあとの活動休止をなぜかこの曲聞くと思い出すんですね。勝手な思い入れなんだけど。よく聞いた歌だけになんか苦しいんです。

一方で「遺書。」や「SATIE」は当時大好きだったので、本当にうれしかった。

でもあれだけ思い入れて聞いていた曲たちより「アダンバレエ」からの曲のほうがとても魅力的に響きました。歌詞もタイトルもまだろくに覚えていないにもかかわらず、です。

そうやって「遺書。」や「SATIE」を聞いて、あれだけ聞きこんだ曲だからこそ、あ、そうか、Coccoも声変わりをしてるんだ。あれから、19年経って彼女の声も当然変わっていて、私も彼女と同じだけの年を取ったんだ、ということに気が付きました。

そして、そうやって年齢を重ねた今のCoccoが歌う「アダンバレエ」の曲たちが本当に魅力的なんです。そのことも本当にうれしかったです。

最後から2曲目かな。「有終の美」を歌ってくれました。すぐそこで、顔が見えるところでCoccoが

汚れたスカート
ひるがえして
胸張って行くよ

いつだって きっと
ちゃんと 笑ってるよ

私は 大丈夫

って……! (引用すいません!)

私は本当にあなたを見るたびにそのことを考えるよ!
Coccoは笑ってるかな、ご飯は食べられてるかなって。何もしてませんけど彼女が大丈夫であればうれしいんです。自分より歳上の、しかもとんでもない才能をもって、精力的に活動されてる方に、こんな思い入れは失礼かもしれないですけど。けど。

「アダンバレエ」は”生存者(サバイバー)による生存者(サバイバー)のためのアルバム” http://natalie.mu/music/news/194163 なんだそうです。

いつもいつもべったりでCoccoを追いかけ続けてきたわけじゃない。今ディスコグラフィー見たら持ってないアルバムを発見してしまいました。前のライブ参加が8年前だってことに気がついてなかったくらい、私の中のCoccoのイメージはとんでもなく古いんです。

Coccoにも毎日があってそこで彼女が力強く生きていることを私は目撃してなくて、8年ぶりのライブで勝手に元気をもらったっていうそういう話かな、とも思うのですが。

それでもCoccoのうえにも私のうえにも等しく19年が経って、Coccoがサバイブしている今日があることがとてもうれしいと思ったライブでした。

行けてよかったです。

2016.9.22作成

  • 最終更新:2016-09-23 13:31:35

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