森川さんとニックのこと

8/2に行われた『ズートピア』MovieNEX発売記念特番を拝見しまして、ニコラス・ワイルド役、森川智之さんのトークに心を奪われてしまいました。
勢いあまってゴンドラのシーンに関する長い長い独り言と、ニコ生の文字起こしを作成いたしました。
ニコ生文字起こしにご興味おありの方は本ページを豪快に下のほうまでスクロールしていただけますと幸いです。


2つのゴンドラ

8/2にニコニコ生放送にて、『ズートピア』MovieNEX発売記念特番が放送されました。

その際に、森川さんが語られた内容でとても心に残った箇所がありました。下記文言は、ニコ生からほぼママで文字起こししたものです。

質問:好きなシーンを教えてください。
「フラッシュフラッシュダッシュで行こうぜ、も好きなんですけれども、僕が好きなシーンはゴンドラのシーンですね。ニックとジュディがふたり、明け方ゴンドラに乗って、傷ついてたら負けだぞっていうシーンで、ニックがジュディに対して、要は元気づけるためですかね、その、自分のトラウマっていうか吐露するんですよ、自分のすべてっていうかね、今、自分がどうしてこういう風になってるかっていうところを吐露する。二人の距離感がすごく近づくシーンで、僕そこがすごい大好きです」

ニックとジュディがゴンドラで会話をするシーンは、映画を見た多くの方の心に残ったシーンでもあると思います。しかしあのシーンがどういうシーンだったかということを、こんなにもシンプルに正確に言葉にできる方がいるのかな、と思いました。

質問に対してリアルタイムで正確に、わかりやすい文章で回答するのはとても難しいことです。森川さんはインタビュー慣れもされていると思いますが、ご本人も声優さんとして成功されているうえ、キレッキレで有名な福山 潤さん、寺島拓篤さんらが所属する声優事務所の社長さんでいらっしゃいます。ご本人も相当キレッキレなのだろうな、と感じました。


  • ゴンドラに乗って

さて、では実際ゴンドラのシーンとはどのようなシーンだったのでしょうか。

ゴンドラのシーンは大きく「回想前/回想導入/回想後」に分けられます。下記の英語はノベライズ&英語字幕&シネストーリーコミックベース。日本語は吹替の聞き取りです(ので表記は管理人のオリジナルです)。


<< 回想前 >>
夜闇の中のゴンドラのふたり

N) Officer Hopps. ※1
J) Thank you.
N) Never let them see that they get to you. ※2
J) So things do get to you? 
N) No... I mean, not anymore. But I was small and emotionally unbalanced like you once. ※3
J) Har-har. 
N) No, it's true. I think I was eight, maybe nine, and all I wanted to do was join the Junior Ranger Scouts.

「巡査、どうぞ」
「ありがとう」
「傷ついてたら負けだぞ」
「ねえ、あなたは傷つかないの?」
「ああ、今はもうな。でも小さいころは、君みたいにえらくがんばってたよ」 ※3
「はいはい」
「ほんとさ。あれは確か8つ、9つのときかな、俺はジュニアレンジャースカウトに入りたくて仕方なかった」


<< 回想導入部 >> 
映像はニックの家→レンジャースカウトの活動場所へ。大人ニックとちびニックの声がクロスし、大人ニックの声はナレーション的に響きます。

N) So my mom scraped together enough money to buy me a brand-new uniform, because, by God, I was gonna fit in. Even if I was the only predator in the troop. The only fox. <Okay, Nick> I was gonnna be part of a pack. <Ready for initiation?> <Yeah. Pretty much born ready.> I was so proud.

「おふくろが金をかきあつめて新品の制服を買ってくれたんだよ。俺はこれでスカウトに入れるって喜んでた。肉食動物のレンジャーはほかにいなかったけど……唯一のキツネ」 <ようニック> 「それでも仲間になれるんだって」 <心構えは?> <もちろん。もうずっとできてる> 「誇らしかったよ」


<< 回想シーン >>
レンジャースカウトの活動場所で、口輪をつけられて泣いてしまうちびニック。大人ニックの声はしなくなります。


<< 回想後 >>
夜明けのゴンドラのふたり

N) I learned two things that day.
N) One, I was never gonna let anyone see that they got to me.
J) And two?
N) If the world's only gonna see a fox as shifty and untrustworthy, there's no point in trying to be anything else. ※4
J) Nick, you are so much more than that...
N) 渋滞がどうしたみたいなことを言う(ちょっと長いのですいません)
J) Nick, I'm glad you told me.
N) 交通カメラ……
J) Seriously, I'm OK.

「俺はふたつ学んだよ」
「まず、何があっても傷つかないようにすること」
「それ、と?」
「世界がキツネのことをずるくて信用できないと決めつけるなら何をしても意味がないってことさ」
「ニック、あなたはそんなんじゃない、本当よ」
渋滞がどうしたみたいな話
「話してくれて、ありがとう」
交通カメラ……
「大丈夫よ、ありがとう」


  • 2つのアドバイス、なのか?

5~6月の私は、回想後のニックのセリフを「ニックの2つのアドバイス」と捉えてまして、そのようにツイートしていました。

しかし、こうしてセリフとふたりの態度をよく見てみると、
・回想前のシーンで語られた "Never let them see that they get to you." はジュディへの「アドバイス」
・回想後のシーンで語られた "I was never gonna let anyone see that they got to me.""If the world's only gonna see a fox as shifty and untrustworthy, there's no point in trying to be anything else."ニックが自身の経験から導き出した「人生訓」であることがわかります。

回想後のニックのセリフは、もうジュディへのアドバイスではなく、森川さんがおっしゃっていたように「自分がどうしてこういう風になってるかっていうところの吐露」なのです。回想前のシーンでは「要は元気づけるため」に自分の話をジュディのために始めているにもかかわらず、です。

ボゴ署長とのやりとりで動揺しているせいでしょうか、窮地を救ってくれたニックに対して、ジュディは短くお礼を言うことしかできません。そんなジュディの様子を見かねたニックは "Never let them see that they get to you." とアドバイスをしてくれます。

ジュディは反論もせずその言葉を聞き「ねえ、あなたは傷つかないの?(あなたは、私みたいになることはないのかしら?)」と問いかけます。ニックの思い出話は「俺だって昔は君と同じだったさ」と、ジュディに共感を示すために始められるのです。

回想明けでは、ニックとジュディの互いへの共感や思いやりのベクトルは逆転しています。軽口を叩けなくなったジュディを元気づけるつもりでニックが始めた思い出話があまりにもニックの人生に深く根差した内容であったため、ジュディはニックの、ともすれば後ろ向きに聞こえる2つの「人生訓」(特に2つめ)を聞き、「あなたはそんな存在じゃない、もっと(いいものだ)」ということを伝えずにはいられなくなります。

ジュディのその真剣な様子に、自分が内面をさらけだしすぎて(それは「吐露」という単語がふさわしい、たぶんニック自身の1つめの「人生訓」にビミョーに抵触するふるまいです)本当にジュディに心配されていることに気が付いたニックは、渋滞の話をすることで場の空気を変えようとします。

ですが、ニックが自分を心配してその話をしてくれたことを正しく理解しているジュディは「話してくれてありがとう」とお礼を言い、それでもまだ交通カメラの話をしようとし続けるニックに、重ねて「本当よ、わたしは大丈夫だから(大丈夫 → 空気が重くなったことを気にしてない? あるいは、もう元気が出た?)」と真剣に伝えようとします。

ふたりが自分の気持ちをさらけ出してしまったこと、その様子を見たもう一方が相手を思いやる行動に出たことが表現されるとてもすてきなシーンです。

ここで最初の森川さんのセリフに戻ってみましょう。

「ニックとジュディがふたり、明け方ゴンドラに乗って、傷ついてたら負けだぞっていうシーンで、ニックがジュディに対して、要は元気づけるためですかね、その、自分のトラウマっていうか吐露するんですよ、自分のすべてっていうかね、今、自分がどうしてこういう風になってるかっていうところを吐露する。二人の距離感がすごく近づくシーンで、僕そこがすごい大好きです」

↑全部入ってる! これを生放送でスラスラ喋れるのです。森川さんご自身がニックみたいじゃないですか! と思ってしまった次第でした。本当にありがとうございました。



  • ふたりのニック

さて話題を変えて、ベイトマン演じるニックと、森川さん演じる吹替ニックの演技の差が伝わりやすい回想導入部について、もう少し詳しく見てみましょう。

上記、回想導入部では、大人ニックのナレーションのうえに、ちびニックの映像と声がクロスしてきます。映画を見ている我々には、大人ニックの声はナレーション的に聞こえ始めますが、同時にこれはゴンドラにいるジュディが聞いている生のニックの声でもあります(ということを踏まえて聞くと、こんな声で打ち明け話された日には……とこちらの理性がどこかに行きそうになるのですが)。

回想後に語られるニックの2つの人生訓を聞けば、この事件自体が、彼の中で決して愉快な思い出ではないこと、完全に消化しきれていないできごとであることは想像に難くありません。ですが、レンジャースカウトにとても入りたかったこと、仲間に入れると思ってとても誇らしく感じたことを語るニックの声はとても優しく、親密に響きます。

ベイトマン演じるニックは、この回想のシーンを静かに淡々と演じています( because, by God, I was gonna fit in. の because, のところで少し笑いますが、これは「笑っちゃうだろ、仲間に入れると思ってたんだ」という軽い自嘲に聞こえます)。

一方森川さん演じる吹替ニックは、お母さんがユニフォームを買ってくれたこと、みんなの仲間に入れると感じたこと、そのときとても誇らしかったということを、静かにではありますが、たしかな笑顔で、うれしそうに語ってくれます。直後ほかの動物からのいじめにあったこと、彼らの仲間になれなかったことはその後のニックの人生を方向付ける悲しい事件ですが、吹替ニックにとってそれは悲しいだけのできごとではなく、幼少期の宝物のような思い出であるのではないかと感じさせられます。

仲間になろうと思っていた同世代の動物たちにむりやり口輪をはめられたことを、ニックがどんな言葉で、どんなふうに、ジュディに語ったのか、わたしたちは知ることができません。いずれにしろそれは、回想前後よりもはるかにニックにとって言葉にするのが難しい事柄だったと思われます。

☆以下本当に印象だけのふわっとした話ですのですいません。

森川さんは、吹替の仕事についてアニメイトタイムズのインタビューで、「吹き替えの場合は、完全に完成されたオリジナルがあって(略)自分が吹き替えを担当する役者さんと同じ役作りのプランをちゃんと辿る感じ」と表現されています。もちろん、本作でもそれを目指されたと思います。

ただ(この文章が否定的に響かないといいのですが)映画を見ていると、ベイトマンのニックよりも日本語吹替ニックのほうが、その時その時の感情が一割程度でしょうか、率直に声に乗っているように感じられます。

例えば先のゴンドラでの回想導入部の笑顔の演技。ベルウェザーのデスクでのとてもうれしそうな「アカシア通り」。ボゴ署長と対峙するシーンや、会見後のジュディとの会話でも、ベイトマンのニックは声の上に息の残った声が出ているのに対して、吹替のニックはもう少し感情の伝わりやすい、喉の穴が平たくなったような、喉全体で鳴らしている声が出ているように感じます。

結果、日本語吹替ニックのほうが、英語ニックより親しみやすい、くだけたお兄さんに見えるように感じます。この差はどこから出るのでしょうか。わたしが思いつく理由は下記ですが……

・単純にわたしの耳が英語のニュアンスを聞き取れていない(これがいちばん大きい気がします)

・ジェイソン・ベイトマンが声優さんではないため、感情のニュアンスが声に乗りにくい

・プレスコで演じたベイトマンの声に、アニメーションがプラスされた結果、完成したニックが声だけの演技よりも上機嫌なキャラクターになった → そのニックを受け取った森川さんが再構築した結果、日本語ニックの声のほうが上機嫌になった

森川さんは日本でもトップを走っている声優さんなので、ベイトマンの音をそっくりにトレスして日本語に落としてくれ、とリクエストしたら、おそらくそれができるのではないかと思います。

ですが、英語と日本語ではセンテンスの抑揚の幅がまったく違うので、音をそのままトレスすると、必要以上に感情表現の豊かなキャラクターになってしまう可能性があると思います。またシーンごとの感情もつながりづらく、辻褄の合わない演技になってしまうかも……。映画を通してニックのキャラクターを理解し、ストーリーに合わせて再構築する作業というのは、吹替収録において必要不可欠の取組であるかと思われます。

そうして森川さんと日本語吹替スタッフさんが導き出したニックは、わたしのような日本人にとっては、ベイトマンが演じたニックよりも、設定年齢との乖離を感じさせない、若くて上機嫌な声を持ったとても魅力的で親しみやすい「30代前半のキツネの詐欺師」に見えました。

ベイトマン演じる原語ニックと、森川さん演じる日本語吹替ニックを、まったくの同一動物ととらえるのは難しそうです。よく似た生い立ちをと全く同じ外見を持ったいわば魂の双子(……寒いですか?)のように感じます。

もちろん、魂の双子である日本語吹替ニックも大変魅力的な存在であり、そちらのほうがより好きである、大切な存在であると感じられる方がいらっしゃることもわたしには当たり前のことに思われます。これは本当にSMAPのなかで25歳のキムタクと28歳のキムタク、どっちがより好きかというような小さなこだわりと個人の嗜好の問題かと思います。

原語ニックに手ひどく惚れ込んでしまった1ファンとして、ニックを深く理解し、再構築してくださった森川さんのニック評を聞くことは大変なごほうびでした。そしてなにより、わたしの国の言葉を話してくれる、この魅力的なニックを生んでくれた森川さんと日本語吹替スタッフさんには最大級の感謝を。

くりかえし聞きたくなる音源が手元にあることを、とてもうれしく思います。

お付き合いありがとうございました! m(_ _)m



  • 関連のおすすめインタビュー

・アニメイトタイムズ
ニコ生の内容をほぼ網羅した内容に加え、ニックというキャラクター、ニックの人気をどうとらえているかというお話をしてくださっています。「どの辺がイケメンだと思いましたか?」に対する回答は必読。また、国内アニメ作品と、吹き替え作品での仕事の違いについてのお話も興味深いです。

・ガジェット通信
森川さんの動画コメントが見られます。



※1
ゴンドラに乗るときにニックがジュディにかけた言葉は "Officer Hopps." でした。これこそがジュディが望んでいた扱われ方、直前ボゴ署長にバッジを外すよう迫られて、諦めようとした扱われ方です。詳細はジュディが"quitした日" の真ん中らへん pollice officer = realcop ←→ meter maid のあたりをご覧ください。

ニックが見ているジュディは常に「私はオフィサーである」「オフィサーホップスである」と名乗っていますが、彼女に Officer Hopps と呼び掛けた動物はほぼいません。例外的にベルウェザーさん(とボゴ署長)が初回登場時に呼びかけていますが、その後ジュディをofficerと呼んだのはニックだけです。たぶん。ニック自身も、ジュディにストレートに "officer" と呼びかけているのは最初のカフェでの詐欺シーンのみ、そのあとは "officer toot-toot"、"officer fluff" とからかい目的でわざとこの単語を使ってきました。

それなのに、ジュディがその資格をはく奪されそうになり、いちばん困っていたときに、その局面から彼女を救い出し、ここぞとばかりに "Officer Hopps" と呼びかけることで「きみはまちがいなく "officer" であると自分は考えている」ということを、うやうやしい動作とともに示してあげたのです。うーん、イケメン。そして頭のいいイケメンです。惚れずにいられましょうか……。


※2
N) Never let them see that they get to you. の翻訳は吹替と字幕で若干の差があります。

吹替)傷ついてたら負けだぞ
字幕)弱気な姿は見せるな

辞書 を引くとget to は「~に到達する」という、到達のイメージを持った言葉のようです。
今回の場合で言うと「(精神的に)こたえる」「人に影響を与える」「困らせる・イライラさせる」などの訳語がぴったり来るでしょうか。「彼らに、彼らが君を弱らせているということを悟らせるな」で、比較的直訳に近い形になるのではないかと思います。「他人に見せるな」という意味が原文にありますので、ここに関しては字幕のほうが原文に近いニュアンスになっているかもしれません。


※3
"I was small and emotionally unbalanced like you once." 「小さいころは、君みたいにえらくがんばってたよ」 というセリフの "I was emotionally" → 「がんばってた」 という訳語は、橋の下の "Okay. You bunnies are so emotional." 「よしよし、もうほんとうにがんばるんだから」 と呼応しています。
さらに「がんばるんだから」という単語のセレクトは主題歌の訳詞と呼応しているのではないか、という可能性についても合わせてご覧ください。詳細は 雑多なメモ にて。


※4
N) If the world's only gonna see a fox as shifty and untrustworthy, there's no point in trying to be anything else. 「世界がキツネのことをずるくて信用できないと決めつけるなら何をしても意味がないってことさ」
ニックの2つめの「人生訓」には、映画中でくりかえされるキーワード "be anything" が含まれています。映画開始当初ジュディの信条は "anybody can be anything" で、その考え方はセメントに足を突っ込んでいるときにニックに真っ向から否定されています。
ですが、行動を共にするなかで、このふたりの「人生訓」と「信条」はそれぞれに修正を迫られ、映画が終わるときにはそのふたつはほぼ寄り添うことになります(ジュディは「リアルライフはメッシーであり、バンパーステッカーのスローガンのようにはいかない」と現実をかみしめますし、「ずるいキツネでしかありえない」と言い放っていたニックは詐欺師から警察官に転身しています)。詳細は "fox" と "bunny" の言い分 をご覧ください。


追記
回想シーンのちびニックは、「あなたを逮捕します」といったジュディ同様、「ニック・ワイルド」ではなく「ニコラス・ワイルド」と名乗っています。
これが最初全然気が付かなくて「I にっくるすわいるど! promissed to be...」ってなんか「にっくるす……」って言ってるように思っていました……。なにあれかわいい! と思ってたんですが、普通に名乗ってるだけでした。普通に名乗ってるだけでかわいい!


2016.8.26作成


ニコニコ生放送 『ズートピア』MovieNEX発売記念特番レポート

下記は8/2に行われた『ズートピア』MovieNEX発売記念特番のニコ生の様子です。

セリフは管理人が耳で聞いて、ところどころ省略していますので、森川智之さんご自身の意図とは違う編集になっている可能性があります。
本サイトからの抜粋はご容赦いただけますようお願いいたします。
(部分抜粋するとますますご本人の意図から遠ざかる可能性があるためです) 

また、本放送は8/24の『ズートピア』MovieNEXの発売を記念して行われました。本記事ご覧になった方はぜひ合わせてMovieNEXの購入をご検討いただけますようお願いいたします。

<番組概要>
2016年8月2日(火)13:30~14:14 
森川智之出演『ズートピア』MovieNEX発売記念特番 l ディズニーっコすたじお番外編
来場者数:12592人 コメント数:3884

・出演者
森川智之(としゆき)さん(ニック役 日本語版声優)
MC:遠藤 舞さん
よしひろまさみちさん(映画ライター)


  • 洋服など
ミントグリーンのシャツに、紺地横シマのネクタイで登場した森川さん。「ちょっとニックに寄せたコスプレです」とのこと。舞台挨拶のときと同じ、ご自分で用意された衣装とのことですが、上戸彩さんには"ニックに寄せた"ことは気がついてもらえなかったそうです。
(お写真は下記URLから)

  • 『ズートピア』は三回見ました
2D、3D、4Dでご覧になったそうです。 4Dだとどんな感じですか? という質問に「さっと来てさっと来てガタガタっとなります」と回答していらっしゃいました。
ご自分の出演作を3回ご覧になるというのは、けっこう多い気がしています。
サイとジュディのグータッチのシーンや、DMVのシーン、サバンナセントラルの駅でカバが風圧で水を切っているシーンなど、具体的なシーンに言及されるときもとても楽しそうで、作品を愛してらっしゃる様子が伝わりました。

  • 動揺を見せない
森川さん、二度ほど「ニックは自分のピンチの時に動揺を見せない」とコメントしていらっしゃいました。Mr.ビッグの家、レインフォレストやクリフサイドのシーンを考えるに、肉体的なピンチではニックは盛大に動揺しているので、おそらくそこではない箇所なんでしょう……。となると、やはりボゴ署長と対峙したシーン、あるいは博物館でジュディにスカーフを巻いていたあたり(など)でしょうか……。ここはぜひMCの人に一歩突っ込んでほしかったです……!

  • 全体
「俺のこと好きなんだろ」は2回おっしゃってましたが、若干照れていらっしゃったように感じました。ニックがイケメンすぎて人気、という話題のときも、けっこう照れてらっしゃいました。個人的には「フラッシュフラッシュダッシュで行こうぜ!」(2回)と「アーイスキャンデー」って声をはってらっしゃった瞬間がニックそのもので、見ていて盛大に動揺しました。スタッフさん、森川さん、ありがとうございました。m(_ _)m


  • ニックの人気について
「意外でした。ディズニー映画の中で言ってみれば (ニックは)おっさんじゃないですか。こういうディズニーの長編アニメーションだと、主人公でヒロインのジュディを引き立てる役なのかと思ったら……そのつもりで収録したんですけど、ふたを開けてみたら、全然違うぞ、と

  • 上戸彩さんについて
「ジュディの声は若い女性の正義感あふれる声」「ぴったりでした」「収録は彼女の声を聴きながらできました」「(上戸さんは)お子さんに見せたいんじゃないかな」

  • 収録裏話
「(上戸さんも収録には大変苦労したそうですが)僕自身もそうとういろいろと言われましたよ」「詐欺師っぽくやらないでください、とかね」「最初のゾウのアイスキャンディのお店のシーンは、詐欺師を演じないでくださいと言われた。本当のお子さんを連れたいいお父さんを演じてくださいと言われた」

  • 好きなシーンについて
「フラッシュフラッシュダッシュで行こうぜ、も好きなんですけれども、僕が好きなシーンはゴンドラのシーンですね。ニックとジュディがふたり、明け方ゴンドラに乗って、傷ついてたら負けだぞっていうシーンで、ニックがジュディに対して、要は元気づけるためですかね、その、自分のトラウマっていうか吐露するんですよ、自分のすべてっていうかね、今、自分がどうしてこういう風になってるかっていうところを吐露する。二人の距離感がすごく近づくシーンで、僕そこがすごい大好きです」

  • ニックの服装について
「僕の勘違いかもしれないですけど、ジュニアレンジャーのユニフォームが、大人のニックが着てる色合いとかタイみたいなものも雰囲気が似てて、やっぱニックってそういうものもちゃんと引きずってるからこそ、あの色合いのものを着てるのかなって」

  • ズートピアの世界にいたらどんな動物でどんな職業か(ニック以外で)
「僕どっちかっていうと草食系ではないので。肉食系なので。ライオンハート的にどこかの芸能事務所の社長をやってると思います」 ※森川智之さんは、福山 潤さん、日野 聡さん、寺島拓篤さんなどなどが所属する声優事務所アクセルワンの社長さんです

  • ニックのポプシクルハッスル(アイス詐欺)について
「あれ、よく考えましたよね。そんなに値段も高くないじゃないですか」「それであのスティックですか、アカスギまでちゃんと使って。ネズミの建材に」「あれ食べてみたいですよね。これから夏には。ディズニーさんあのアイスキャンディ作ればいいのに」「あの足形はフィニックでしたっけ、相棒の」「スティックは赤ね、もちろん」

  • ラストのシーンのあのセリフ、あのときの二人の間にあったのは友情ですか? 男女の愛情ですか?
「あの……俺のこと好きなんだろ?っていうね……」「どうなんですかね、これはもう本当に皆さんが映画を楽しむっていうことで、僕は常に思ってるんですけど(映画を見た方に)すべて(の解釈)を与えてしまうんではなくて見た後に余白の部分を残してあげて、見る人にとって、そのあと想像を膨らませて楽しんでいただく……」と断言を避けていらっしゃいました。ありがとうございます。勝手に想像します!

  • 夢はなんでしたか?
「僕、本当に子どものころの夢ですけど、社長だったんで。本当に社長になっちゃいました」

  • 飛び出した名台詞メモ
(ニックと)真逆のところっていうと動揺しない(ところ)。僕は顔に出ますから」
「(真似ができないところは)理路整然と嘘をつくというか。ものをうるときのセールストークだったりすると、弱点を言わないというか。ニックはセールスマンとか向いてますよね」「アーイスキャンディー! とか」
「好きな女性のタイプは頭の回転のいい人。別にヘッドバンギングするとかじゃなくて。キリッとしてる人が好きですけどね」「僕どっちかっていうと打ちのめされたい方なんです。ドMですから!
「(初めて買ったCDって……)僕らはレコードとかソノシートですね」「一番最初に買ったのがビリー・ジョエル」「LPですけどね、中1ぐらいかな」「一番最初にレコードを手にしたのは、誕生日に親からもらったピンクレディのペッパー警部」「本編のなかでもニックが言ってましたけど、今どきCDなんて、って」

  • [余談] 読み方が難しい
冒頭からMCさんに「声優の森川ともゆきさんでーす!」と紹介されてしまう森川さん。特に訂正せずに「はい、どうも。森川としゆきでーす」と名乗ってらっしゃいました。なれっこの大人の対応でした。
これは心のそこからMCの方が気の毒でした。ゼロ知識の日本人で智之を「としゆき」と読める人はまずいません……! スタッフさんがちゃんと伝えておかないと……!

  • [余談2]
ゴンドラのシーンに関する森川さんのコメントがとても味わい深かったので、近日長めのテキストを書きたいなと思っています。

『ズートピア』MovieNEXは好評発売中です!


2016.8.26微修正
2016.8.4作成


  • 最終更新:2016-08-28 17:29:03

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